射影行列の復習
線形回帰の理論は、射影行列を用いて展開すると大変見通しがよくなります。
まずは、射影行列を復習しましょう。なお、本稿を通しては、行列の転置を表します。
定義(射影行列)
対称行列がを満たすとき、を射影行列という。
補題(射影行列の性質)
(i) が射影行列であれば、も射影行列である。
(ii) 射影行列は対角化可能であり、その対角成分(固有値)は0か1に限られる。
(ii) 射影行列は対角化可能であり、その対角成分(固有値)は0か1に限られる。
定理(正規変数の2乗)
射影行列と独立な標準正規分布に従う確率ベクトルに対して、は自由度の分布に従う。
線形回帰モデルと最小二乗推定量
線形回帰モデルでは、出力データ
を個の入力データ
で回帰することを考えます。
回帰パラメータと残差ベクトル
を導入して、回帰式を以下のように定めます。
ここで、は行列です。とすれば、モデルに切片を取り込むことに相当します。
パラメータは以下のを最小化するものとして推定されます。
上式の2行目は平方完成です。これにより、最小化問題の解は以下のようになることがわかります。